川越画廊 ブログ

2010年5月26日









今日は天気のせいか来場者少なし、そこでユーテューブへ画像をUP。
入口マットまで青で統一されております。
これで様子がわかるので、来場する必要がなくなるかもしれませんが・・






先般世田谷美術館で開催された「川上澄生展」のカタログは、完売したそうです。
その時重要な作品の一つとして、ガラスケースの中にに展示されていた
版画本「時計」です。
表紙(木版画)もきれいですが、中に20図の木版画が挿入されています。
川上澄生の最も豪華な挿絵本です。


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「昭和19年刊行に際して、栃木県特高係から、非常時にかような趣味的贅沢本の刊行まかりならぬとして呼び出されるが、たまたま特高係長が教え子で、そのとりなしで漸く刊行許可となった。」
という曰く付きのもので、市場に出ることは稀です。(限定100部外家蔵本)



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初夏の風(参考画像)

かぜとなりたや
はつなつのかぜとなりたや
かのひとのまへにはだかり
かのひとのうしろよりふく
はつなつのはつなつの
かぜとなりたや

初期の青春譜ともいうべき作品群の中の代表的作品で、生涯の代表作でもある。
棟方志功がこの作品を見て版画家を志したと言われています。
画面に文字を描きこむという手法が棟方に踏襲されていますが、
詩が絵を補完しているのか、絵が詩を補完しているのか。

棟方は木版画自体が詩であると気付いたのではないでしょうか。
川上澄生は詩人だったのです。

澄生の「初恋」は、生涯底流に流れるテーマであったとしても、
形としては、ある時期から明治初期の風俗であり南蛮船でありました。

南蛮趣味の中でランプと時計が最も多く描かれています。
この「時計」は、ものに託した詩集なのです。


この作品は近々コレクション展にて、展示いたします。
by kg142 | 2010-05-26 17:20 | アート