2010年6月18日
鹿沼市立川上澄生美術館 「机の上の川上澄生」 1994年 カタログ
このカタログに「時計」の全頁が複製されています。
このカタログの中に次のような文章があります。
「時計」について
机上静物として、最も優れた作品に「時計」がある。
この「時計」は、豪華本作りの名人と言われた日本愛書会の志茂太郎さんと川上さんが数年の歳月をかけて完成した豪華な版画絵本である。
ー中略ー
「時計」の第一頁に、「予は時計を愛す。ここに時計と予が好める器物をとり合わせなどして20図を得たり。・・・」と言っておる。
この「時計」は、明治末期、大正初期のあらゆる時計を収録したもので、色んな種類の鍵巻時計、龍頭巻時計、置時計、目醒時計、柱時計が集められ、これに配するに、当時の珍しい小物の骨董が組み合され、これに川上さんの軽快な解説があり、まさに「明治大正文明開化時の全時計図鑑」として後世の方々に珍重される大版画絵本である。
私などこの本が計画されて毎年、年頒で代金を分割納入して求めたのである。
川上さんの所謂版画絵本は、有名なる「青髯」を始め実に百冊に及ぶ膨大なものがあるが、その中でも、この「時計」は、最大にして最優秀なるものとして、現在でも愛書家の垂涎の的となっている。・・・
(長谷川勝三郎) (机の上の川上澄生展図録より転載)
by kg142
| 2010-06-18 17:51
| アート