川越画廊 ブログ

常設展示




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左から リーウーハン リト、ヘンリー・ミラー 水彩、関根伸夫 リト



昨年11月 塙太久馬先生が亡くなられました。追悼展は少し先になると思いますので、今回1点だけ常設展に加えて展示いたします。
川越画廊では 1993、1997、2003、2009年に個展を開催しています。






蝉をずっと描いていました。
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塙太久馬  水平飛行 木版画 2009 52×70cm ed.35

1947年八王子の生まれ、版画家城所祥の唯一の内弟子だった人です。師譲りの特徴は、墨版を何回も摺り重ねて漆黒の黒を作ることでした。モチーフはもっぱら自画像と思わしき蝉で、作者は多摩川河川敷の梨畑には蝉が多いから描いているとおっしゃっていました。 
腎臓病から長く人工透析をされていて、この絵にあるブルーのラインは静脈を表しているとも思えます。背景には時事のニュースが描かれています。

この作品のエディション番号はNo,2で、おそらく2部しか摺られていないと思われます。
油性インクで刷れば、漆黒は一度の摺りで作り出すことができます。なぜ水性インクを何度も摺り重ねるのでしょう。
部数を多く摺らないのなら、なぜ(直接描くより手間のかかる)版画にする必要があるのでしょう。
疑問は尽きません。永いお付き合いでしたが、それらについて話されたことはありませんでした。

ただ、何もかもが効率優先の世の中にあって、一見無意味な努力をしているように見えることにこそ意味があるのではないかとは思えます。
by kg142 | 2014-02-21 18:17 | アート