川越画廊 ブログ

7月1日



今年も早半年が過ぎて、夏本番となりました。

あまり期待されているとは思われませんが、展覧会を開催しなければというプレッシャーを常々感じていて、この度は泉茂の版画を展示することといたしました。


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泉茂 エッチング 31×35cm

このエッチングには左下にエディション番号、右下にサインと制作年が1951と記されています。

資料(画業 泉茂1989講談社)によれば、エッチングを始めたのは1953年10月とあるので、この作品は最初期の作品ということになる。(あるいは制作年の誤記だろうか)

いずれにしても1954年には、エッチング集第1集、第2集と刊行し、エッチングによる個展を開催している。
(*エッチング集第2集(8点組)は、今回展示いたします。)
そして、1957年第1回東京国際版画ビエンナーレで新人奨励賞を受賞する。
この受賞作はリトグラフで、短期間にエッチング、リトグラフという版画技法を習得してしまったのである。

1959年の渡米の年には、版画作品によってある程度の知名度を得ていた。

おなじデモクラートのメンバーだった池田満寿夫と同様に、泉茂も版画によって華々しくキャリアをスタートした。
だから、泉茂も版画家になるべきところだったが、そうならなかった。それを断ち切ったのが、渡米だった。

技術にこだわり熟達し、技術をより深めてゆくと、趣味的な作品になってしまうという一部の版画家が陥る危険を察知してのことだった。

よって泉茂の版画は、画家の版画なのである。

洋画家の版画と言えば、写真製版による複製的な版画が一般的である。
泉茂はキャンバスに描いたイメージを、再び版に描いて、自分で腐食するあるいはプレスするという、創作版画家の手法で制作している。それが泉茂の版画なのである。

つづく












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by kg142 | 2016-07-01 19:17 | アート