大沢昌助展 2017
水平線1をマーク・ロスコに例えて言われた方がありました。
しかしタイトルが示しているように、具体的なものをイメージした再現絵画とでもいえるもので、抽象表現主義というよりも少し以前の例えばモンドリアン的な作品かもしれません。
モンドリアンの絵画はまったくの抽象であっても、元は木であったり道路であったりするわけです。
この時期マーク・ロスコを研究していたとしても、青地のマチエールは実見してみれば、油彩画家の筆致そのものです。左の小品を見ると、同系色の調和というアルバースにより親近感を持っていたようです。
事実大沢先生のコレクションにアルバースの作品がありました。
右の緑の瓶は、モランディとアルバースの融合とでも言えるかもしれません。
88歳の時に銀座和光で開かれた「ソフトライン」の個展は、大沢によるサイ・トゥオンブリーの研究成果とでも言えるものでした。
最晩年は、アウトサイダー・アートを研究したりもしていました。
多くの画家が自作の模倣に陥ってしまいがちになる中で、大沢昌助は生涯進化を続けた稀有な画家でした。
大沢絵画はまさに変身と変貌であり、静物画はモランディ、風景画はド・スタール・・・というように一部の作品に類似性を指摘する人がいたとしても、深い洞察と研究によってすべてが大沢絵画になっているということを、多くの人が気付いていると思います。
by kg142
| 2017-05-04 15:25
| アート