川越画廊 ブログ

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2012年10月28日





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靉嘔  十開の圖 虹佛 (通称:レインボー北斎) 15×15cm 54枚
前回紹介しました「レインボー北斎」 を撮影しました。
モーセの十戒(Ten Commandments)にかけたルビをふった、フルクサス的ユーモアのあるタイトル。
額装すると裏面を貼り付けねばならずコンディションを保てないこと、額が大きくなって取り扱いが大変なことなどからこの状態での保管がベストのようです。

50-60年代に多くのグループが生まれました。
デモクラート(1951-1957)、実験工房(1951-1957)、具体美術(1954-1972-現在 )、フルクサス(1962-1978-現在)、もの派(1968-1970-現在)・・・・・・・
靉嘔はデモクラートからフルクサスへ参加しますが、フルクサスと実験工房の両方に参加している音楽系の作家が多いことから、この二つは近いように見えます。マチューナスは日本の動向を注視していて、「ハイレッドセンター」など直接交流のなかった作家もフルクサスのメンバーとしています。晩年は北海道への移住を希望していたそうです。
フルクサスを入り口に現在、具体やもの派が注目されているのかもしれません。

1958年に渡米した靉嘔は1962年頃に、「自ら描くことをやめすべてを虹でカバーする」というコンセプトに到達します。過去のペインターとしてのキャリアと天才を封印して、虹のコンセプチュアルアーチストになったのです。いろいろな運動が複合しているので、今まで靉嘔がコンセプチュアルアーチストという呼ばれ方はされていないかもしれませんが、あえて言えばそういうことかと思います。そこにはデモクラティックであること、権威主義、貴族趣味、イリュージョン絵画・・に反対するというフルクサスとそれ以前からの一貫した思想が貫かれています。
靉嘔はプラスチックの廃物やビニール紐などをキャンバスに貼りつけた作品を制作しています。
リンゴの絵を見てあたかもそこにリンゴがあるように感じることをイリュージョン絵画とすれば、抽象画においては意味ありげなオブジェクトを貼りつけたり、詫びさび的なあるいは崇高さを演出するような絵画をイリュージョン絵画と言えないでしょうか。プラスチックの廃物などのチープなもののほうが雰囲気を作らず、より画面そのものに物体として着目するコンクリートな絵画となる、ということを靉嘔は実践しているように見えます。


つづく
by kg142 | 2012-10-28 17:00 | アート

2012年10月18日


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靉嘔「悲劇よりもより悲痛なるものの静寂」 の修復が終わって展示しました。


ジョージ・マチューナスは「フルクサス国際現代音楽祭」をヨーロッパで成功させて、1964年ニューヨークに戻ると、靉嘔のロフトの一軒となりにフルクサスショップを開きます。靉嘔がショップの開設を手伝っています。フルクサスのアートジャンルの活動の再開です。
フルクサスのマニフェストには、商業主義、アーチストの特権意識、旧来のアートの形式、イリュージョン絵画、貴族趣味・・などに反対するというのがあります。ギャラリーをショップと呼び、ショップでは無署名で大きなエディションのマルチプルというものを安価で販売します。
フルクサスでの靉嘔最初の記念碑的な作品が、「フィンガーボックス」というマルチプルです。フルクサスでは展覧会をコンサートあるいはショーと言い、そこで発表したのが「レインボーエンヴァイラメント」で、この二つがフルクサスにおける靉嘔の最も知られた作品です。
1966年のベニスビエンナーレでも「レインボーエンヴァイラメント」を発表して大きな話題となりました。
1960年代後半から制作する虹の版画では、箱に入ったセット作品を多く作っています。これらは版画における「レインボーエンヴァイラメント」とでもいうべきものです。最初「レインボーエンヴァイラメント」は複数のタブローを組み合わせて部屋(あるいは平面)を作るという発想から生まれたもので、タブローのセットと言えるものだったからです。
「レインボー北斎」は54枚のシルクスクリーンが箱に入ったもので、1970年の第7回東京国際版画ビエンナーレ展で国立近代美術鑑賞を受賞しています。

つづく





20(土)、21(日) は川越祭りです。今年は29台の山車が出るとのことです。
20(土)は営業します(~6:00まで)が、21(日)は常設展示中の為、通常通り休廊いたします。








by kg142 | 2012-10-18 19:07 | アート

2012年10月13日





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桐生の大川美術館で  オノサトトシノブ展 が開かれています。
「生誕100年 オノサトトシノブ」  10月5日~12月16日
http://www.kiryu.co.jp/ohkawamuseum/default.htm
1950年代、60年代 初期の魅力的な小品をメインにとした展覧会。オノサトが暮らした地元での生誕100年の記念イベント。紅葉見物を兼ねて出かけられたらいかがでしょうか。




長沢秀之展 が、ギャラリーモモで開かれています。
PAINTING on Painting 10月6日~11月3日
http://www.gallery-momo.com/GALLERY_MoMo/current-ryogoku-j.html
過去の名画の模写の上をドットでカバーしてゆく、「ヒマク」シリーズの深化した最近の仕事です。




川越市立美術館で 開館10周年特別展が開かれます。
小江戸川越江戸絵画 職人尽絵と三十六歌仙額    11月6日(火)~12月16日(日)
普段は県立博物館、喜多院などでレプリカしか見ることのできない
狩野吉信〈職人尽絵〉、岩佐又兵衛〈三十六歌仙額〉、伝狩野探幽〈鷹絵額〉 の実物を見ることができます。
http://www.city.kawagoe.saitama.jp/www/contents/1270106839348/index.html
独自のHPはありません。


会期中これに関連する作品を含む
「川越画廊コレクション展」 を開催します。
詳細は後日



以上お知らせでした。
by kg142 | 2012-10-13 14:52 | アート

2012年10月10日





靉嘔展の会期終了しました。
発送作業も一段落して、空いた壁に違う作品を展示。
看板には常設展示としておりますが、結局すべて靉嘔作品となり 靉嘔展の展示換え会期延長というようなものになります。
今後も 再々、再々々・・と 繰り返し靉嘔を展示してまいります。




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靉嘔 星Ⅰ、星Ⅱ  1962年  油彩 他

1962年は虹を発見した年で 虹の直前にこのような漆黒の世界に沈潜したのでしょうか。
このシリーズは、今回の3館巡回展「靉嘔 ふたたび虹の彼方に」には出品されていません。
ジョージ・マチューナスのヨーロッパへの逃亡によって、1962年の靉嘔個展は幻に終わっていますが、開かれていたらあるいはこの作品も出品されたのかもしれません。
まだまだ靉嘔は研究されるべき画家と思われます。
by kg142 | 2012-10-10 17:59 | アート

2012年10月3日




靉嘔のリトグラフ



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靉嘔 サド侯爵 リトグラフ 1957年 39×28cm ed.12(記載なし) サインなし(版上サインのみ)


 
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靉嘔 ネクタイの男 リトグラフ 1956年 ed.5(記載なし) 36×27cm サイン入り 額装



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靉嘔 ヘビ リトグラフ 1957年 1/12 28×43cm サイン入り 額装



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靉嘔 会話 リトグラフ 1957年 ed.12(記載なし)  28×43cm サイン入り 



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靉嘔 岩の中 リトグラフ 1957年 1/50  37×29cm サイン入り  額装



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靉嘔 夜の風景 リトグラフ 1957年 9/12 28×43cm サイン入り 額装

これら初期リトグラフは、デモクラート美術協会参加時代に 瑛九、泉茂らとともに頒布された作品です。








それ以前の作品 ↓


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靉嘔 悲劇よりもより悲痛なるものの静寂 油彩・キャンバス 1953年 91×73cm
現在の若手作家が描いたような今日的なこの作品は、タイトルをサルトルの文章からとり靉嘔が22歳、教育大学在学中に描かれた作品です。タイトルの通り 人間存在の苦悩を描く作風はこの年だけで、翌年からは陽光降り注ぐプリミティブな作風になります。
この作品は今回展示していません。(会期後の常設に展示予定)










 
by kg142 | 2012-10-03 17:53 | アート