
油彩・キャンバス 220×220mm
大沢作品でも表紙絵ということで、女性像に目鼻が描かれている。
背景が既に、後の抽象作品になっていて、古さを感じさせないと思います。

「インベーダー」 これは当時SF映画や小説で馴染みとなった異星からの侵略者の表現であるが、15世紀イタリア・フェレンツィの画家パウロ・ウッチェロの代表作である戦闘集団の一部をそっくり現在(未来?)に移しかえて作ったものだ。・・
・中略・・大沢さんの「本歌取り」はまことに楽しげで屈託がない。
《現代美術 夢のつづき(冬青社)安福信二のエッセイから抜粋》
上の文章を見て「本歌取り」という表現に興味を覚えた。
しばしば大沢絵画が、古典を引用したり研究したりする手法を、こう表現するのは的を得ているかもしれない。
(画像は他の画集から転載)

大沢昌助の墓は、四谷の西念寺(新宿)にある。
この寺は江戸初期に服部半蔵が出家して建てた寺だ。
笠間に親鸞が東国布教の拠点にした西念寺(笠間市)があり、半蔵は鎌倉期のこの寺を意識していたかもしれないし、死して後も江戸城の西を守るという意味を込めたのかもしれない。大沢家は半蔵に近い旗本であった様だ。
さてこの作品のタイトルは「緑の影」というが、練馬美術館のカタログにある原画の水彩画には「単色の構成」となっている。(変身と変貌 大沢昌助展1991 #119図版)
「単色の構成」のほうが「アルバースのビン」に近いが、没後20年ということでは、なんとなく観音像にも見えてきます。


水平線1をマーク・ロスコに例えて言われた方がありました。
しかしタイトルが示しているように、具体的なものをイメージした再現絵画とでもいえるもので、抽象表現主義というよりも少し以前の例えばモンドリアン的な作品かもしれません。
モンドリアンの絵画はまったくの抽象であっても、元は木であったり道路であったりするわけです。
この時期マーク・ロスコを研究していたとしても、青地のマチエールは実見してみれば、油彩画家の筆致そのものです。左の小品を見ると、同系色の調和というアルバースにより親近感を持っていたようです。
事実大沢先生のコレクションにアルバースの作品がありました。
右の緑の瓶は、モランディとアルバースの融合とでも言えるかもしれません。
88歳の時に銀座和光で開かれた「ソフトライン」の個展は、大沢によるサイ・トゥオンブリーの研究成果とでも言えるものでした。
最晩年は、アウトサイダー・アートを研究したりもしていました。
多くの画家が自作の模倣に陥ってしまいがちになる中で、大沢昌助は生涯進化を続けた稀有な画家でした。
大沢絵画はまさに変身と変貌であり、静物画はモランディ、風景画はド・スタール・・・というように一部の作品に類似性を指摘する人がいたとしても、深い洞察と研究によってすべてが大沢絵画になっているということを、多くの人が気付いていると思います。

大沢昌助展 Osawa Shosuke(1903-97)
2017年 5月17日(水)-6月10日(土)
水・木・金・土 のみopen 12:00~17:00
オープンの曜日・時間にご注意ください。
今年は没後20年になります。
20年前の5月15日に、私は磐梯山の裾野の温泉に泊まっていました。仙台方面から夜中に着いて、バイクで温泉巡りをしているという青年と私以外、客がいない小さな宿でした。
翌朝訃報を聞いてアトリエへ伺うと、何人かの人が集まっていました。葬儀をアトリエで執り行うということで、わたしも家具などを移動しました。今年このアトリエを整理したとのことですが、20年よく維持されたと思います。
この作品は
変身と変貌 大沢昌助展1991(練馬区立美術館)カタログ#71(図版掲載)
のご紹介です。
アートは「よろこび」であり、「たのしみ」であり、「あそび」である、という
大沢昌助先生の姿勢そのもが版画のタイトルになっています。
ご要望にこたえて、頒布いたします。

大沢昌助 よろこび シルクスクリーン(セリグラフ) 1994年 33.5×25cm

大沢昌助 たのしみ シルクスクリーン(セリグラフ) 1994年 33.5×25cm

大沢昌助 あそび シルクスクリーン(セリグラフ) 1994年 33.5×25cm

版画集よろこび 奥付

版画集の布たとうケース
大沢昌助版画集「よろこび」
版画(シルクスクリーン)3点入り、各作品に鉛筆サインと限定番号入り、摺り:岡部徳三、限定120部
発行:川越画廊 1994年
セット価格 50,000円(税・送料込)
複数セット在庫あり (期間限定)
メールアドレス info@kawag.net
川越画廊のホームページ

大沢昌助展 盛況に終了しました。
最終日は団体のご来場もあり、混雑いたしました。引き続き一部作品を展示しております。

今日、正面の壁の展示換えをしました。
大作搬出まで、数日間大沢昌助も継続展示中です。

H・ミラー 楽園 水彩 1980年(没年)作

靉嘔 とくぞう シルクスクリーン
川越画廊のホームページ
会場風景をユーチューブへUPしました。

洋子さんはおばあさま(昌助夫人)に似ていると言われるそうです。
昌助夫人季美子さんの父親は北村季晴で、先祖は北村季吟という人で、代々「季」という文字が名前に入っています。